高い魚=うまい魚? “本当にいい魚”を見極めるプロの視点

魚と暮らすブログ(コラム・運営)

魚屋さんやスーパーで魚を選ぶとき、「やっぱり高い魚のほうが美味しいんだろうな」と思ったこと、ありませんか?
確かに、高級魚と呼ばれる魚たちは味わい深く、脂ものっていて魅力的です。でも、飲食店で20年、魚料理を10年以上手がけてきた私から言わせてもらえば、高ければ美味しい!というわけではないんです。

今回は、飲食業の現場を知る立場から、本当に「いい魚」とは何か?というテーマでお話ししてみたいと思います。
値段や見た目だけでは測れない、魚の「本質的な価値」について、少しだけ深掘りしてみましょう。
魚のプロがどういう視点で目利きをしているかお伝えできればなと思います。


高級魚だから“いい魚”とは限らない

のどぐろ、金目鯛、大間のマグロ…。いわゆる高級魚は確かに味が濃く、脂がのっていて魅力的です。でも、それは「魚そのものの価値」だけで決まっているわけではありません。

魚の価格には、

  • 産地のブランド(例:大間、銚子、境港)
  • 流通コスト(空輸や冷蔵管理など)
  • 漁獲量の希少性
  • 世間的な需要や人気

といったさまざまな“付加価値”が含まれています。

つまり、同じ魚でも「どこで獲れたか」「どうやって運ばれたか」で値段が大きく変わるのです。そして、この付加価値はかならずしも美味しさに直結しているわけではありません。
高ければ絶対美味しいわけではありません。高いけど状態が悪い魚もあれば、安くても最高の鮮度を保っている魚もあります


安くても美味しい魚の見つけ方

個人的に「この魚、もっと評価されてもいいのに!」と思う魚はたくさんあります。
たとえば、アジ、サバ、イワシ、カマス、サワラ、メカジキ等々…。これらは季節や漁場によって、びっくりするほど美味しくなる魚です。

ポイントは「」と「状態」です。
旬の魚はその時期にたくさん取れているので市場にたくさんあって供給量が多く値段が下がりやすいです。
また旬の魚は脂がのっていたり、身が引き締まっていることが多く味もいいです。逆に、旬を外すとどんな高級魚でも身に味と力がなくでイマイチだったりします。

買うときは、以下のポイントを見てみてください。

  • 目が澄んでいるか?(濁っていると鮮度が落ちている)
  • エラが鮮やかな赤か?(くすんでいたら注意)
  • 身にハリがあるか?(触ったときに弾力があるか)
  • お腹が膨らみすぎていないか?(内臓が傷んでいるサインかも)

鮮度が良く、丁寧に扱われている魚は、価格に関係なく美味しいです。


プロが注目する「魚の目利き」のポイント

では、飲食店や料理人はどんな視点で魚を選んでいるのか?

私たちが重要視しているのは、
見た目(美味しそうな魚かどうか)と、
扱い方(どのように処理がされているか)です。

たとえば:

  • きちんと血抜きされているか?
  • 神経締めがされているか?(これは日持ちと味に直結します)
  • 温度管理(冷却)が適切だったか?
  • 輸送中のダメージ(身割れなど)がないか?

こうした処理がきちんとされている魚は、見た目だけでは分からなくても、調理したときに驚くほど違いが出ます
刺身なら身がぷりっと弾け、焼き魚にすると香りが立ち、火を通してもジューシーです。

一般の消費者の方にとっては少し難しいかもしれませんが、魚屋さんと会話をすることでヒントが得られることもあります。
「この魚、どうやって処理されていますか?」「今日おすすめはどれですか?」などと聞いてみてください。

良ければこちらの記事も参考にしてみてください。


料理の仕方で“魚の価値”は変わる

最後に忘れてはいけないのが、「魚の価値は料理で決まる」という視点です。

魚は、扱い次第で輝きます。
アジなら刺身もいいですが、なめろう、アジフライ、塩焼きにするとまた違った美味しさが引き出されます。
イワシやサバも、〆たり、煮たり、焼いたりと多彩に楽しめます。

料理人の腕が問われるところではありますが、家庭でもシンプルに塩をふって焼くだけでも、十分に魚の魅力を引き出せます。

「高い魚だから美味しい」ではなく、「美味しく仕上げたから価値が上がる」
そう考えると、魚との付き合い方がもっと楽しくなってくるはずです。


まとめ:本当にいい魚を選ぶために

「高い=いい魚」ではありません。
“本当にいい魚”とは、状態が良く、旬で、丁寧に扱われていて、自分が美味しく仕上げられる魚です。

・高級魚にこだわらず、アジやイワシなどの庶民的な魚にも目を向けてみる
・旬や産地の情報をチェックする
・魚屋さんと会話する
・調理方法の引き出しを増やす

こうした工夫で、魚との距離がぐっと近くなり、「魚料理って楽しい」と思えるようになるはずです。

魚の価値は“値札”ではなく、口にしたときの満足度で決まるのです。

私の経験や知識をこちらの【サカナログ】で定期的に発信していきますので、
魚のことで困ったら是非またチェックしてもらえると幸いです。

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